ドル/円相場は、2010年6月下旬以来の90円台まで値位置を切り上げている。昨年からのドル買い・円売りの流れを引き継いでいる。21~22日には日本銀行・金融政策決定会合を控えているが、改めて金融緩和姿勢が打ち出されるとの期待感もあって、円高是正の動きが継続している。
NHKの報道によると、政府と日銀が一体で脱デフレを目指す姿勢を強調するため、麻生財務相、甘利経済再生相、白川日銀総裁が共同声明を発表する方向で調整が進んでいる模様だ。日銀は同日の金融政策決定会合で、物価上昇率目標2%を政府との共同声明に盛り込む方針とされており、脱デフレ・脱円高に向けての政府と日銀の共同歩調が形成されつつある。2%の物価上昇目標に関しては明確な期限設定は行われない模様だが、少なくとも「長期」とはされない見通しであり、円売り圧力を否定するのは難しい状況が続くことになる。22日で「当面の円売り材料は出尽くした」との見方が広がる可能性は否定しないが、原稿の価格水準でトレンドの転換までも想定することは難しい。
一方のドルサイドでは、米金融当局者から量的緩和政策について否定的な発言が続いている。ダラス連銀のフィッシャー総裁は、債券購入拡大を通じた一段と緩和策を決定したことに反対する立場を再表明している。アトランタ連銀のロックハート総裁も、バランスシート膨張に「正当な懸念」が見られるとしており、量的緩和第3弾(QE3)の継続に改めて警戒感を示している。足元では米金利が特に目立った反応を示していないが、これが金利上昇圧力につながり始めると、更にドル高・円安傾向が加速する可能性もある。
今後1週間の予想レンジは、88.75~91.75円。